[住活マニュアル] 台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?|物件OFF

台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?

 

日本は災害大国。水に恵まれた国でもあるのですが、台風の通り道にあるため大昔から水害との戦いが続いています。また、全国各地に温泉地があるという事は魅力的ではあるものの、その分火山活動・地殻変動が活発で、地震も頻繁に起きているという事です。
そのような日本に住み続ける以上、災害は他人事ではありません。「まさか自分が」、「私は大丈夫」など楽観視はけしてせず、あらゆる被害を想定して備えることが大切なのです。

そして、私たちを災害から守ってくれるのは“家”であることは間違いないでしょう。ここでは、そのような「災害から身を守るという事を前提にした家探し」のポイントをまとめました。


台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?


 

《家は自分たちを守る“鎧”》

 

地震でも洪水でも風害でも、私たちを守ってくれるのは“家”です。災害のタイミングを選ぶことはできませんが、身を守る住まいを選ぶことは可能です。災害の少ないと言われている土地を選んだとしても絶対に起きないとは言い切れませんし、災害に強い住まいを建てたとしても完全に防ぐことは難しいもの。少し悲しい現実ではありますがそれを理解した上で、できるだけリスクの少ない、安心できる住まいを探すという事がまず大前提になります。

2019年の台風15号・19号が、関東や東北を中心に多大なる被害をもたらしたのは記憶にも新しいでしょう。
日本の上水道普及率は世界最高水準で、離島などの一部などを除けばほぼ100%に近い状態でどこでも蛇口ををひねれば水が出ますし、水の品質も世界一高いため安心して水道水を飲むことが可能です。夏場など稀に水不足が発生することもありますが、基本的に日本は水資源はとても豊かな国。そのおかげで水田による稲作農業を中心に日本という国自体の発展が出来たといっても過言ではありません。
しかし、逆を返せば今回の集中豪雨のように、水害との戦いを幾度となく繰り返してきたという事。結果、山にはダム、海や川沿いには堤防、大きな川の下流には調整池や遊水地を造るなど、現在では治水対策が充実し、大規模な水害は減りつつありました。

その結果、台風に対する危機感も薄れていったのかもしれません。
「100年に1度の大雨」という想定外の巨大台風が訪れ、首都圏でも多摩川水系が氾濫し大きな被害を出しています。大地震には備えていたけれどまさか川が氾濫するなんて、と思った方も多いでしょう。

マイホームの購入を考えたときには、まず“ハザードマップ”をチェックしてから検討に入ることが大切です。
このハザードマップは被害予測地図とも呼ばれるもので、地形、過去に受けた被害状況、堤防などの対策状況から、予測される災害の発生地点、被害の範囲や被害を、実際の地図上に図示したもの。各市区町村が作成しており、それぞれ閲覧することが出来るようになっています。
もちろん「想定外」もあり得るので万全ではないものの、その地域の弱い面や気をつけるべき場所などが見えてくるはずです。

 

台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?:家は自分たちを守る“鎧”

 

 

 

 

《家は災害から守るべき“資産”》

 

災害から身を守ってくれる“家”ですが、同時に災害から守らなくてはならない“資産”でもあります。
貯金などの動産はいくらでも移動させることが出来ますが、マイホームは不動産であり動かすことが出来ない財産です。経営が危機的状況にある銀行に大切なお金を預けようとは思わないように、家も、災害発生時に大きな被害を受けそうな場所、構造であってはいけません。
そして、ほとんどの方が30年、35年ローンを組んでマイホームを購入しており、その家に住みながら返済を続けることを想定しているはずです。支払いが終わる前に家が住めない状況になってしまっては目も当てられません。

確かに通勤・通学や買い物などは毎日のものですから、利便性の高い場所に住みたいということはわかります。みんなが憧れる土地に住みたい、それが不可能でもできるだけ近場に住みたいなど、希望のエリアもあるでしょう。
ですがそれらだけを重視して購入を決めるのはかなり危険です。数千万円の資産である家を災害から守れる場所なのかどうか、しっかり確認したうえで購入を決めましょう。





《様々な災害を想定して備える》

 

繰り返しますが、災害は他人事ではありません。いつ、どこで、誰がどのような災害に遭遇するかは予測不可能です。
自然災害に限って言えば、海の近くでは津波、塩害などがありますし、山の近くではがけ崩れや土石流、川沿いでは氾濫や浸食なども発生します。何もない平地でも地震をはじめ、台風による水害や風害、冬場は大雪による様々な被害もあるでしょうし、最近は夏場も記録的な猛暑で命の危機もあります。

もちろんそれらから人々を守るため、国や都道府県、市町村などの自治体もそれぞれ対策を講じてはいるでしょう。しかし、だからと言ってそれらに甘えて私たち個人が「何もしなくてもいい」という理由にはなりません。考えたくない事ではあるかもしれませんが、次は自分が被災者になるかもしれないという覚悟の上で、その身を守るために可能な限り対策をしていくことが重要と心得ましょう。





《安心できる家探し:購入前に情報収集》

 

災害に備えるといっても、まず何からすればいいのかわからないかもしれません。
これから新たに家を購入することを考えているのであれば、最低限何をすればいいのでしょうか。



■ハザードマップをチェックする

上述しましたが、各市区町村がハザードマップを作製していますので、しっかりと確認しておくことが大切です。見つからない場合は国土交通省がハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」を公開していますので、こちらから確認しても良いでしょう。
もちろんこのハザードマップも完璧ではないためそれを過信しすぎてしまうのは問題ですが、川沿いや海沿いなら最低でも堤防などの対策がしっかりされているかどうかも確認しておきたいところ。特に地球温暖化により海面上昇もしていますので、海抜の低いエリアを希望しているのなら特に注意しておいてください。



■過去の災害の情報を集める

インターネットを利用すれば、過去にどのような災害が発生したのかを知ることが可能です。具体的な被害状況はもちろん、危険なエリアも知ることが出来るでしょう。過去を知ることが出来れば、そのためにどのような対策がなされてきたのかもわかるはずです。
場所によっては、過去の水害発生時にどこまで浸水したかを電柱に記している地域もあるようですので、探してみるのも良いかもしれません。



■地形を確認する

ハザードマップでもある程度の地形は確認できるのですが、敷地独自の地形を見ることも忘れてはいけません。
特に気にしておきたいのは、住宅を建てるため新たに整備された造成地で、“擁壁(ようへき)”が造られている場合です。崖の崩落を防ぐための土留めをしたうえでコンクリート製のブロックを積むなどをした壁状の建造物で、この擁壁自体はとても大切なものです。
が、どれだけ頑丈に造られたものでも時間経過で劣化はしますし、人工物ですから耐用年数があります。中には、強度的に不安のあるブロック塀が使用されていたり、雨水を排水するために必須な水抜き穴がないなど、違反建築物や既存不適格建築物とされる擁壁もあるため、入念なチェックが必要なのです。

 

台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?:擁壁に注意

 

 

■地盤を知る

日本はとにかく地震が多い国ですから、できるだけ地震に強い土地に住みたいもの。埋め立て地は高低差がないため移動の負担がないなどのメリットはありますが、地盤沈下や液状化の可能性が高いというデメリットが存在しています。元水田地であった土地は水を引き込みやすく、水はけが悪いというリスクも。各区市町村やインターネットなどで地質調査の結果を確認することもできるので、近隣も含めて確認しておきましょう。
また、可能ならば古地図を見たり、地名の由来を調べてみると過去どのような土地であったのかを知ることが出来ます。





《安心できる家探し:災害に強い建物》

 

生まれ育った場所から離れることが出来ないなど、どうしても災害の多い土地に住まなければならないといった方も多いでしょう。住むエリアを選ぶことが出来ないのであれば、マイホームである建物で身を守り、その建物自体も災害に強い必要性があります。

 

 

■地震

大地震が発生するたびに耐震基準が厳しくなり、最近建てられたものであれば震度7程度の地震でも簡単に倒壊することはまずありません。しかし地盤に不安が残る土地なのであれば、国に登録されている第三者機関が共有基準で評価した“性能評価制度”を利用して安心できる建物を見つけ出すのがおすすめです。

 

 

■水害

「災害=大地震」というイメージが強すぎて、実際に巨大台風が来るまで「豪雨で川が氾濫する」ということを想定していた人は少なかったのではないでしょうか。
水害にも種類がいくつかあります。まず“津波”、台風を含む大雨によって川の水が堤防からあふれるなどして発生する“外水氾濫”、そして2019年の台風19号で都心部などでも大きな被害を出した“内水氾濫”、“バックウォーター現象”など。マンション購入を考えているのであれば、市や区の対策だけでなく独自に内水氾濫対策がなされてるものを選びたいところです。

マンションであれば、電気設備の設置場所にも注目しておきましょう。電気設備はマンションの心臓部とも言えます。ここに水が入り込んでしまえば電気系統が故障してエレベーターは停止、水道も電気を使用しているため止まってしまいます。
津波や外水氾濫のことを考えると低層階よりも高層階のほうが安心できるでしょうが、あまりにも高層階になってしまうと停電時には必要以上の苦労を強いられることになります。

戸建の場合、水害発生時に浸水が予想される土地であれば平屋よりも2階建て、可能であれば3階建て以上のものが良いかもしれません。流されることのないよう、木造よりできるだけ頑丈な建物にしたほうが安心でしょう。


台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?:水害


 

《安心できる家探し:専門家によるチェックを受ける》

 

建築基準法は大震災ごとに見直されよりより厳しいものになってはいるものの、実はこれは“必要最低限の基準”です。この基準をクリアしているという事は、「倒壊せずに中にいる人たちの命を守れる」ことであって、どんな災害でも壊れないという保証ではありません。ましてや、ある程度の浸水対策は計算されていても、洪水で流されることはほとんど想定されていないのが現実かもしれません。

可能であれば、購入前に建築士などの専門家の知識も借りておきたいところです。戸建はもちろんのこと、マンションでも同行を依頼する価値は十二分にあるでしょう。建物だけではなく、素人ではわからない周囲の地形や危険な箇所なども見てもらうことが可能です。
もちろんある程度の費用は掛かってしまいますが、将来の安心を買ったと考えればそれほど高いものではないのかもしれません。





《自分の力で身を守るために“備える”》

 

ダムや堤防、遊水地や地下放水路の建設など、行政にしかできない災害の備えというものは確かに存在しています。しかし、それには莫大な時間と費用がかかるため、すべてを行政任せにすることはできません。しかもそれらもいつかは劣化はしますし、年々災害もひどくなる傾向にありますから、他人任せにせず自分の身は自分の力で守る事を考える必要が出てきているのです。

 

台風!地震!マイホーム探しをする上で震災リスクをどう考える?:備える

実際に災害がおこってから「備えておけばよかった」と後悔しても取り返しはできません。
その土地に長く住みたいのであれば、けして地名のブランド力や利便性だけを優先せずに“もしも”のことを念頭に置いて、家や土地探しをすることをおすすめします。



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