[物件OFFコラム]土地の面積が減る?セットバックの目的やメリットを正しく知ろう|物件OFF

土地の面積が減る?セットバックの目的やメリットを正しく知ろう

 

中古一戸建てや家を建てるための土地の購入を考えた時、不動産広告で“セットバック”という言葉を見かけることもあるでしょう。別名“道路後退”とも呼ばれ、「セットバック面積があると、土地の面積が減る」と聞いた方もことがある方もいらっしゃるかもしれません。

セットバックによって、せっかく購入した土地の一部が減ってしまうというのは、信じられないかもしれませんが実際のことです。
そこで今回は、購入してから後悔することがないよう、セットバックの目的からメリットとデメリット、注意点などについてを解説していきます。


土地の面積が減る?セットバックの目的やメリットを正しく知ろう2

 

 

 

《セットバックの基礎知識》

 

セットバックには「後ろに下がる」という意味があります。
つまり“要セットバック”とされている土地の場合、家を建てる時に道路に接しているところから後退(セットバック)し、その部分の土地を道路として提供することが前提となっているのです。

そもそも自分の土地として購入したのに、なぜ道路として提供しなければならないのでしょうか?



■セットバックの目的

市街地に家を建設する際には建設基準法により、原則として「幅4m以上の道路に2m以上接している」という条件が定められています。この“道路”とは建築基準法では道幅が幅4m以上の国道や都道府県道、市区町村道であり、幅4m以下のものは道路として認められていません。

行政は街づくりを行う際、「防災」を前提に考える必要があります。災害や事故が発生した場合には消防車や救急車といった大型緊急車両の通行を妨げることのないように、法律で道路の条件を厳密に規定しているのです。
しかしこの建築基準法が施行されたのは1950年であるため、それ以前から存在している古い市街地には当然ですが道幅が4mに満たないものも多く存在しています。このような道路は“2項道路(にこうどうろ)”と呼ばれ、建設基準法では認められないものの、「道路としてみなした道路」にあたります。
しかし防災上、不安を抱えた道路であることには変わりありません。そしていくら理由があるからとはいえ、いきなり「道路幅を確保したいので、家を壊して道幅分の土地を明け渡してください」と行政が言うことはできないでしょう。

その代わり、今は無理でも「いずれ建て替える時には、土地を後退(セットバック)させ道幅分を確保してください」と行政からお願いされているのが“要セットバック”と表記された土地なのです。



■セットバックする幅の計算方法

実際にセットバックする幅は、土地と道路、反対側の土地の状況によって2つのケースに分けられます。

まず1つ目は、道路を挟んで向かい合った土地がこちらと同じく宅地である場合。
このケースは、道路の中心線から平等に土地を提供することになります。道幅は4mであることは決められていますから、双方が中心線から2mまで下がれば良いのです。
例えばセットバック前の道幅が3mであったのであれば、道路の中心線からは1.5mしか離れていません。この場合はお互いに0.5mずつ後退することになるでしょう。

2つ目は、道路の反対側が川や崖、線路などの場合。
宅地の場合と異なり、反対側の境界線を動かすことはできません。そのため、こちら側だけで4mの道幅を確保しなくてはならないのです。
同じくセットバック前の道幅が3mならば、4mの道幅を確保するために境界線から1m後退する必要があります。


セットバックの基礎知識

 

《セットバック物件を購入するメリットとデメリット》

 

セットバックの必要性が分かったところで、セットバック物件を購入するメリットとデメリットについてみていきましょう。



■セットバック物件購入のメリット

セットバックを行うことによって、道路の幅が広がり緊急車両が侵入しやすくなる、というのは上述の通りです。しかし災害時のメリットはそれだけではなく、道幅が広がったことによって火災時には延焼が及びにくくなりますし、地震の際には倒壊の被害を受ける可能性が低くなる上、安全な避難経路としても使用することが可能でしょう。
もちろん通常時でも車両の進入が容易になりますし、道幅が広がれば車と人、または車同士などの接触事故の減少にもつながります。さらには見通しが良くなることで不審者も潜みにくくなったりと、安全性の面から見てもメリットが大きいと言えるのです。

また、要セットバックと記載された物件は、基本的に道幅が狭く日当たりにも恵まれていないことが多いことから、価格が相場よりも控えめなケースもあるようです。注意点やデメリットは当然ありますが、コストを抑えて購入できるのはうれしいポイントでしょう。



■セットバック物件購入のデメリット

要セットバックと記載されている場合でも、その時点では土地はすべて売主の所有になります。そのため、購入時にはセットバック予定の土地も含めた費用を払う必要があるのです。
そして、たとえ購入して自分の土地になったとしても、要セットバック物件は建築基準法によりそのままでは家を建てることができません。土地の一部を道路として提供することで、ようやく建築が可能となるのです。契約書でもセットバック部分の面積は引かれ、残された土地の部分を実質的な敷地面積として扱うことになります。

敷地面積が減れば、建設可能な建物の最大上限値も低くなり、「理想の間取りの家が建てられない」という状況に陥ることもあるでしょう。分かりやすく言えば、これまで建てられていた家と同じ大きさの建物は建てられなくなる可能性が高いということ。サイズダウンしたものでなければ建設できないケースが多いのです。
そうならないためには、要セットバック物件の購入前には入念な確認が必須でしょう。




《セットバック物件で気になる問題》

 

セットバック物件で特に気になるであろう問題はこちらになります。



■建て替えは可能?

中古物件や古家付き土地の購入の場合、建て直しすることは可能です。
ですがセットバックを行わない限り建築確認がおりませんので、建て替えには「セットバックの実行が必須」となります。



■セットバックを拒否することは?

セットバックを拒否することはできません。購入時点で既に存在している建物にそのまま住むことに関しては認められていますが、上述の通り、セットバックをしなければ建て替えを行うことは不可能となります。
建て替えを視野に入れて中古住宅の購入を検討しているのであれば、要セットバック物件には注意が必要となります。



■セットバックした部分を利用しても良い?

セットバックした時点で、その土地は“公共の道路”となりますので、自由に使うことは認められていません。隣接した土地がセットバックしておらず、たとえ道路として利用がされていなかったとしても、その部分への駐車などはできないのです。
門や塀の設置はもちろん、物置や植木などを置くことも認められませんのであらかじめ有効敷地面積を確認しておきましょう。



■セットバック分の土地代はもらえる?

せっかく自分で購入した土地ですから、「自治体に買い上げて欲しい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ほとんどのケースは寄付扱いになります。一部の自治体では買い上げを実施した例もあるようですが、基本的には無償提供であると認識したほうが良いでしょう。



■セットバックの費用はどうなる?

セットバックにかかる費用などは多くの場合、各自治体が全額負担するケースがほとんどのようです。
ですが費用負担をしない自治体も存在していますし、私道の場合になると費用負担での問題が発生する可能性も抱えています。
事前にトラブルを回避したいのであれば、要セットバック物件の購入前には工事費用負担についての聞き取りもしっかりと行っておく必要があるでしょう。


セットバック物件で気になる問題

 

《セットバック物件でも購入を検討したい物件とは》

 

要セットバックの土地は避けたほうが無難ではあるものの、デメリットを把握し理解した上で納得できるのであれば、購入することに何ら問題はありません。
その中でも、要セットバック物件でも購入を検討しても良いケースはこちらになります。



■価格が相場より安い

要セットバック物件は、通常の物件と比較しても価格が安い傾向がみられることはお伝えした通りです。セットバックの土地はほぼ無価値であるとみなされるため、その部分だけ安くなるのは当然のことになります。
セットバック後の土地面積が十分であり、坪単価も相場よりも安いのであれば、購入しても問題ないでしょう。

とはいえ、セットバックの際に工事費用が必要となる場合もありますので、それを踏まえた検討が必要です。



■敷地面積が十分である

上述の通り、セットバックを行っても十分な敷地面積であると確認できたのであれば、購入を検討しても良いでしょう。
セットバック物件で最大のデメリットは、セットバックで敷地面積が減ることによって家が建てられる“有効敷地面積”が狭くなり、建設可能な家の大きさの上限が低くなることです。隠ぺい率・容積率などを計算し、セットバック後の有効敷地面積でも理想とする大きさの家が建てられるのなら、購入することに何も問題はありません。



■建て替えを想定していない

セットバックは建て替えの際に行われるのですので、既に建てられている家に住むこと自体は認められています。
つまり、セットバック自体の拒否はできないものの、建て替えを行わない限りはセットバックを回避して住み続けることが可能なのです。中古物件をリフォームしてそのまま住むことを希望するのならば、それほど問題にはならないでしょう。ただし、大規模なリフォームやリノベーションにまで至る場合は、セットバックが必要になるケースもありますので注意が必要です。

とはいえ、セットバック未実施のままだと防災上のリスクは存在し続けることになりますから、あまりおすすめはできません。




《セットバック物件を購入したらどうする?》

 

セットバック物件購入前の注意点はここまでにお伝えした通りです。
では、実際に要セットバック物件を購入した後にやっておくべきことはあるのでしょうか?



■固定資産税の非課税申請

提供した土地の部分は“道路”となり、固定資産税を支払う義務はなくなります。
厳密に言えば利用する権利が制限されただけであって、所有権がなくなったわけではありませんが、その部分の固定資産税及び都市計画税が免税されるのです。

しかし、自動的に免税されるわけではなく、非課税の申告が必要な点には注意しなくてはなりません。
固定資産税は市区町村税にあたりますので各自治体に問い合わせ、必要書類を用意してから手続きを行いましょう。



■助成金の有無

それほど多くはありませんが、セットバック部分の土地の買い上げの実施しているケースや、寄付として受け付けている自治体も存在しています。
中には助成金が受け取ることができる場合もあるため、こちらも併せて確認しておきたいところです。




《セットバックした後の状況を考えてからの検討が必要》

 

セットバックを行う理由から、要セットバック物件を購入した場合のメリットとデメリット、気になる問題点や注意点などまでを説明しました。

マイホームとして中古一戸建てを選ぶ場合、セットバックが必要な物件であるかどうかは必ず確認しておかなければなりません。希望する間取りや広さの家を建てることが可能どうかはもちろんのこと、工事費用の負担確認なども必要となりますので、物件価格だけを見て購入を判断することは避けたほうが無難です。また、セットバックを回避して住むことはできるものの、防災上の観点からあまりおすすめはできません。
しかし、その問題がすべてクリアできるのであれば、要セットバック物件であるかどうかは大きな問題にはならないでしょう。

いずれにしても接道問題はその家の住みやすさにも直結します。
セットバックを行うことによって、土地や周囲にどのような影響を与えるのか、事前の確認が必須と言えるのです。


セットバックした後の状況を考えてからの検討が必要

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