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消費税がかかる不動産とかからない不動産がある?課税基準と計算方法とは
私たちの生活にもっとも身近な税金と言えば、おそらくは消費税でしょう。飲食料品などの一部は軽減税率により8%となっていますが、現在での消費税率は10%であり、店頭などで商品を購入する際はその代金に消費税が課されるのが基本です。
当然ですが、消費税は代金の%で決定されるもの。つまり、その金額が大きくなればなるほど支払う消費税額も大きくなります。
では、人生で最も高い買い物とされている「不動産の売買」の場合はどうなるのでしょう?もし購入価格の全額に消費税が課税されたら、税金だけでもものすごい額になってしまうのでしょうか?
そこで今回は、不動産売買に伴う税金についてわかりやすく説明します。
目次
消費税についての基礎知識
不動産取引と消費税
不動産売買における消費税の疑問点
消費税がかかるもの・かからないものの把握をしっかりとしておこう
《消費税についての基礎知識》
現在では多くの方が「消費税は当然にあるもの」と考えている方も多いかもしれません。
まずはこの“消費税”とその定義についてからおさえていきましょう。
そもそも消費税とは、事業者が事業として商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金です。前提が“事業者が事業として行う”ことであるため、個人間による売買は課税対象になりません。また、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から、検査や裁判といった公共サービス、医療費などの社会福祉事業などのサービス、学校の授業料、国債の取引や預貯金などの利子などのほか、賃貸住宅の家賃に対しても課税されません。さらに、“消費しないもの”に対しても課税されないのも特徴です。
現時点の消費税率は10%ですが、8%から10%への増税と同時に軽減税率制度が実施されています。外食を除く飲食料品や新聞など日常生活に必要とされているものは8%のまま据え置かれている一方で、それ以外のものに関しては10%であることが基本です。“不動産”に対してもこの軽減税率の対象にはされていないため、課税項目には10%の消費税が課されます。
ただし「不動産取引」に関しては、一部が課税対象外とされている項目もある点が最も注意しなければならないポイントでしょう。
《不動産取引と消費税》
不動産は軽減税率対象ではありませんが、一部が非課税であるというところまでをお伝えしました。
ではここからは、その「一部」が何なのかをひとつずつ見ていきましょう。
■不動産売買における非課税項目
消費税は原則として、事業者による“消費物”および“サービスの対価”に課税されるものです。また、社会的配慮などの理由によって、消費税を課さないという形をとっているものも存在しています。
不動産取引において、課税対象にならないものはこちらです。
・土地
資産譲渡としては課税対象ですが、土地自体の取引については非課税です。これは売主が事業者でも一切かかることはありません。
そもそも「土地」そのものはどれだけ年数を重ねても消費しませんし、劣化する性質を持たないため、消費税の前提が成り立たないのです。他人の土地の使用を認める“借地権”の権利譲渡にも消費税は発生しません。
ただし、1カ月未満の土地の貸付、駐車場などの土地利用を行う場合は、その利益に対しては課税対象です。
・売主が個人の建物
建物は消費物のため課税対象ではあるものの、売主が“個人”の場合は非課税です。
これは中古物件の取引によくあるケースで、例えばこれまで住んでいたマンションを売却する場合などはこちらに含まれるでしょう。不動産会社が仲介していたとしても、実際には個人間による売買にあたりますので、消費税は課されません。
なお新築の注文住宅や建売住宅などのほか、不動産会社が買取再販している物件の場合は、売主が“事業主”のため消費税を支払う必要があります。
・家賃
住宅として住む場合、その家賃に対して消費税は課税されることはありません。消費税が導入された当時は課税対象でしたが、現時点では住宅用として利用するのであれば法律によって非課税とされています。
そのため、住宅用でなく事業所としての賃貸であればその家賃は課税対象です。また、1カ月未満の短期賃貸のケースも消費税が発生します。
・その他
住宅ローンの借入額に係る利子や、各種保険料や保証料なども法律の規定により非課税である他、印紙税や登録免許税などといった税金なども“事業の対価”に当てはまらないため課税の対象外とされています。
■不動産売買における課税項目
不動産売買における非課税項目がわかったところで、次は課税対象項目を見ていきましょう。
何が課税対象なのかをあらかじめ確認しておくのが重要です。
・売主が事業主の建物
売主が個人ではなく“事業主”の場合は売主に納税義務が課せられているため、買主は消費税を支払わなくてはなりません。不動産会社が中古物件を買い取り、リフォームやリノベーションして販売しているケースがこちらに含まれるでしょう。土地の部分は売主が事業主でも非課税ですが、建物に関しては使用することによって価値が減るものであり、また劣化も進みますので「消費物」とみなされます。
なお新築物件はほぼ売主が不動産会社などの事業者ですので、建物代金は消費税込みになっています。
・仲介手数料
売主と買主の間に入り、案内から契約、引き渡しまでを全てサポートする不動産仲介会社に支払うお金が“仲介手数料”です。これは事業者によるサービスの提供ですので、この仲介手数料には消費税が課されます。
売買価格によって仲介手数料の上限が変化するのが特徴で、全額現金で支払うのが基本です。
・その他手数料
土地の売買前に土地家屋調査士に状態を確認してもらう際の費用、登記を司法書士に依頼するのであればその報酬、さらには住宅ローンの利用に伴う融資手数料や、繰り上げ返済する際の繰り上げ返済手数料などにも消費税が発生します。
■建物価格を知る方法はある?
土地が非課税で、建物部分に限り課税されるとなると、やはり気になるのは価格の割合でしょう。全体の価格のうち土地の部分が多ければ、その分消費税による出費を抑えることが可能だからです。
しかし、ほとんどが土地と建物が一体として売買されているため、内訳で書かれていない限り広告などから確認できません。
ですが、売主が事業主である場合、消費税の額がわかるのであれば建物額を逆算することは可能です。
お伝えした通り、事業主でも消費税がかかるのは建物部分のみになります。つまり、消費税を消費税率で割れば、建物額を導き出せるのです。
計算式は
売買価格に含まれる消費税額÷消費税率(10%)=建物価格
になり、例えば売買価格5,000万円でそのうちの消費税が200万円であれば、「200万円÷10%」であり、建物価格は2,000万円であることがわかります。なお土地価格は残りの3,000万円のうち、消費税200万円を抜いた2,800万円になります。
《不動産売買における消費税の疑問点》
最後に、不動産売買を行う上で多い疑問点と、注意点を紹介します。
■不動産価格は税別?税込み?
2013年に施行された「消費税転嫁対策特別措置法」によって、税込み表示でなくても良いと決められています。
しかしそれは一般的な商品に対したものであり、不動産価格については「不動産の表示に関する公正競争規約施工規則」により“税込み価格”で表示する必要があります。
つまり物件広告に記載されている住宅価格は総額表示であり内税であるため、たとえば4,000万円と表示されていれば支払う金額は4,000万円であり、そこに消費税が上乗せされることはありません。
■中古物件は新築物件より住宅ローン控除の期間が短い?
個人間での取引が多い中古物件は、そもそも非課税であることはここまでにお伝えした通りです。そのため、10%の消費税がかかる新築物件は一定の要件を満たせば控除期間が13年となる一方で、売主が個人の消費税がかからない中古物件の場合は、控除期間は10年とされています。
■売主の属性はどこでわかる?
コストを抑えて中古物件を購入したいのであれば、消費税がかからない個人が売主の物件を探したいもの。
その場合は物件広告の「取引態様」を確認しましょう。“仲介”または“媒介”と表示されていれば、売主が個人である可能性が高くなります。“売主”と表示されている場合は、その物件の売主は不動産会社であることが多いため、消費税の課税対象です。ただし、その場合は住宅ローン控除が最長13年になるケースも考えられるため、総合的に見たほうが良いでしょう。
なお、仲介や媒介と表示されていても、売主が事業主であるという可能性もゼロではありません。気になるのであれば、あらかじめ確認することをおすすめします。
《消費税がかかるもの・かからないものの把握をしっかりとしておこう》
不動産取引と消費税の関係についてを解説しました。
不動産そのものの消費税率は10%でありますが、土地価格などを含めた一部の項目は課税対象ではないこと、また個人同士での売買は非課税である一方、相手が不動産会社などの事業者である場合は課税される点には注意が必要です。
不動産は非常に高額ですから、やはり消費税がどのくらいかかるのか気になるのは当然でしょう。消費税額が大きくなればその分だけ負担は大きくなりますし、場合によってはローンの借入額を増やさなければならないかもしれません。
しかし、理想の物件だったとしても、消費税を取られたくないからとあきらめてしまうのももったいないもの。消費税の影響を緩和するために住宅ローン控除の期間や限度額も引き上げられているため、「消費税がかかる物件は損」とは言い切れないのも事実です。また、住宅支援制度も用意されてますので、消費税による出費が気になっている方も安心してマイホーム購入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
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