神奈川県のほぼ中央、厚木市の中心駅である「本厚木」。東京都心部や横浜といった人口密集地域から程よく離れたベッドタウンとして元から人気があるエリアであったものの、新型コロナウイルスの拡大感染の影響によりその魅力が再確認されています。“借りて住みたい街”としてランキング1位に輝いていますが、利便性と住環境が良いことに加えて子育て支援が手厚く、マイホーム購入の検討しているファミリー世帯にもおすすめできるエリアです。

■本厚木の歴史

「本厚木」は、相模川が作り出した相模平野の北端、厚木市内に存在しています。
歴史としてはかなり古く、肥沃な地域であったことから5千から6千年前の縄文時代前期にはすでに人々が定住していました。地名の由来は、この地が木材の集散地であったことからアツメギがアツギに変化した、アイヌ語で寄木を意味するヤオロケシから名付けられた、などと諸説あるようですがはっきりとわかってはいません。南北朝の時代である1338年（建武5年）の夢窓疎石書状には“相州厚木郷”と記されており、その頃にはすでに厚木と呼ばれていたようです。

後北条氏の支配拡大に伴い、本拠地の小田原を中心とした交通網である小田原道が造られ、その宿場として厚木宿が成立。相模川の水害には悩まされたものの、諸街道が交わっていただけではなく相模川水運にも恵まれている地であったため、交通の要衝として17世紀後半には多くの人や物が集まり、小江戸と呼ばれるほど大きな賑わいを見せていました。
が、明治に入ると、日本で初めての鉄道である東海道本線が開通。商人たちが東海道線沿線に活動拠点を移したことにより、宿場町としての役目は終了したのです。

1923年（大正12年）に発生した関東大震災では大きな被害を受けましたが、これを機に街並みを一新。昭和2年には小田急線も開通し、人々はたくましく復興を遂げます。戦前は約4万人程度だった人口も、高度成長期からバブル景気時代にかけて一気に増加。近年では横ばいを続け、この先は減少に反転すると思われていたものの、新型コロナウイルス感染拡大を受けて郊外へ目を向ける人が増えたことにより、都心部から程よい距離感を持った「本厚木」の注目度も一気に上昇しました。
今後は商業・業務エリアを有するタワーマンションが誕生する予定もあり、さらなる発展にも期待できるエリアと言えるでしょう。

■本厚木の地理

厚木市内から利用できる路線は、小田急小田原線の本厚木駅のみとなっています。都心部からはやや離れているものの、乗り換えなしで向かえますし、快速急行も特急ロマンスカーも停まるため、アクセス環境に問題はありません。1つ隣の厚木駅からはJR相模線へ、2つ隣の海老名駅からは相模本線への乗り換えもできますので、横浜駅方面へのアクセスも良好です。

宿場町としての歴史も長かった「本厚木」は道路交通に関しても非常に便利な位置に存在し、東名高速道路や圏央道をはじめ、新東名、小田原厚木道路、国道246号、国道129号、国道468号といった主要幹線道路が集まっており、車があれば東西南北どこへ向かうにも非常に便利な立地となっています。
もちろん本厚木駅前からのバスターミナルからは市内だけでなく多方面へのバスが出ていますので、車を所有していなくても問題はありません。

なお、本厚木駅とは別に“厚木駅”がありますが、本厚木駅は厚木市にあるのに対し、厚木駅は相模川を挟んだ向かいの海老名市にあります。小田急電鉄の社史によりますと先にできたのは厚木駅で、神中鉄道（現在の相模鉄道）が駅を開業させる際に、当時から名が知れ渡っていた“厚木”を駅名に採用したほうが良いと考え、「厚木の玄関口」という意味を込めて厚木駅という名がつけられました。
その後、いよいよ厚木市内に駅が作られようとした際に、厚木駅が既に存在していたため厚木という駅名が使えないというトラブルが発生しましたが、“本当の厚木駅”という意味を込めて「本厚木」という駅名になったということです。

■本厚木での買い物

駅そのものの規模は大きくないですが、22万人を超える厚木市の中心ということもあって、本厚木駅周辺には大型の商業施設が揃っています。特に賑わっているのは駅北口方面で、ファッションや飲食店などのお店が集まった厚木ミロード、イオンやアミューあつぎなどのほか、商店街にも多くのお店が軒を連ねており、ひと通りの買い物を駅前だけで済ませることも可能です。
スーパーもイオン、イトーヨーカドー、さらには高級スーパーの成城石井、激安スーパーのオーケーや業務スーパーなどがありますので、状況に応じて利用するお店を使い分けることができるでしょう。
ファーストフードやファミレス、定食屋などおなじみのチェーン店が多いため、外食派も安心。厚木市は家系ラーメンがひしめき合うラーメン激戦区としても有名ですので、ラーメン好きな人にはたまらないエリアかもしれません。

また、歓楽街のイメージが強く、治安に不安があると噂されている「本厚木」。確かに居酒屋も多いですしパチンコ店やゲームセンターなども見かけることが出来ます。警察が発表したデータでもやや不安を感じてしまいそうですが、実際に注意が必要なのは北口の一部の繁華街のみですので、必要以上に不安視する必要はありません。

■本厚木の施設

東京都心部までダイレクトにアクセスできるという立地にありながら、「本厚木」は多くの自然を今も残し、様々な動植物と触れ合える環境となっています。丹沢山系の東端に属しており、本格的な登山から気軽なハイキングまでいつでも楽しむことが可能。子供連れのファミリーにぴったりな白山（はくさん）ハイキングコース、初心者向けの猪久保（いくぼ）ハイキングコースなどから、難易度が上がった鐘ヶ嶽（かねがたけ）ハイキングコース、山頂にたたずむ神社や名刹などをめぐる厚木大山巡礼トレイルコースなど、複数のハイキング・トレイルコースが整備されていますので、休日は自然の中で過ごしたいという方にはまさにピッタリと言えます。

また、市内に本格温泉があるのも魅力です。飯山温泉郷と東丹沢七沢温泉郷と2つも温泉郷があり、泉質は全国トップレベルの強アルカリ泉。お肌を滑らかにする作用がありますので、“美肌の湯”としても有名となっております。それぞれの温泉郷には素朴な一軒宿から昔ながらの老舗旅館までの宿泊施設があり、市内ですからもちろん日帰り出来る距離ではあるのですが、たまには宿泊してゆったりと温泉を楽しむのも良いでしょう。

自然環境が良い場所で子育てをしたいと考えている方にはまさにぴったりな「本厚木」。ですが実は“共働き子育てしやすい街ランキング”でも毎年上位に入るほど、子育て世帯のためのサポートが充実しているエリアでもあります。
都心は近いとは言えませんが、程よい距離感と長閑さが両立していますので、子育て中の方はもちろんこれから子育てをしたいと考えている夫婦の方には特におすすめしたいエリアなのです。