[物件OFFコラム]中古マンションの気になる「耐震性」はどこを見ればいい?|物件OFF

中古マンションの気になる「耐震性」はどこを見ればいい?

 

地震大国である日本。阪神・淡路大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災、熊本地震、最近では北海道胆振東部地震と、平成の間だけでも多くの地震が発生しました。日本に住み続ける以上、一生地震を避けて暮らすことはできないかもしれません。

そんなときいちばん気になるのはマイホームの「耐震性」ではないでしょうか。中古マンションの人気が高まっていますが、やっぱり「地震に耐えられる構造か?」、「中古でも大丈夫なの?」など考えてしまうものでしょう。

では、中古マンションを選ぶ際に気になる「耐震性」、どこを見て選べばいいのでしょうか?


マンションの耐震性は?

 

《地震に耐えられるマンションって?》

 

首都圏を中心に新築分譲マンションの価格が大幅に上昇し、一般的な年収のサラリーマンのサラリーマンには高嶺の花になってしまうという状況になっています。
それでも、街の中心部からやや離れた場所に建てられることの多い一戸建てより、駅から数分、ショッピングセンターすぐそばなど、生活利便性の高い場所に建設されるマンションを選びたい、という人はかなり多いです。実際に、「生活に便利な立地の中古マンションを購入して、自分好みにリフォーム(またはリノベーション)してから住みたい」、なんて考えてる人もいるでしょう。

でも、「新築マンションのほうが地震に強くて安全なのでは?」と思い込んでしまって、中古マンションの購入をためらってはいないでしょうか。
確かに、建てられた直後の新築状態であればその時点でのコンクリート劣化は一切ないですから、新築マンションは地震に強くて安全、と言えなくもないでしょう。ですが新築のままずっと劣化がない状態を維持し続けることは物理的にも不可能です。どれだけきれいな新築マンションも、時間が経過すればいずれは中古マンションにならざるをえないからです。

中古マンションを購入する際、耐震性の目安となるのは1981年(昭和56年)6月1日に改正された「新耐震基準」を満たしているかどうかです。これの基準をクリアしているということは、震度6強~7程度の揺れでも倒壊は免れるという事でもあります。実際に、改正後の1995年(平成7年)に発生したM7.3の阪神・淡路大震災の際には、旧耐震基準で建てられた建築物の大破や倒壊が目立つ中で、新耐震基準を満たしているものは全壊しているものは少なかった、というデータも出ています。
改正以前に設定されていた旧耐震基準では、“震度5強程度の揺れで倒壊しない”というものでしたから、最近の震度の傾向を見る限りでは、この「新耐震基準」を満たしているかどうかは購入選択時の大きな基準となるでしょう。




《新耐震基準を満たしているか知るには?》

 

気をつけていただきたいのは、改正後である1981年6月1日以降に完成したマンションはすべてが新耐震基準を満たしているわけではない、というところです。
建築物を建てる時は予め“建築確認申請”を行いますが、その建築確認申請が改正後、つまり1981年6月1日以降に受理されたか否かであり、建物が完成したかどうかではないのです。ですが中古マンションの広告などでは工事完了日程度しか記載されておらず、建築確認申請受理日がいつなのかはそこで知ることはほとんどできません。さらにマンションは規模にもよりますが比較的工期が1~2年と長いため、改正後の翌1982年完成だから確実に新耐震基準で建てられている、とも言い切れないのが現実です。

おそらく1984年以降完成であればほぼ新耐震基準で建てられていると思ってもよいでしょうが、どうしても建築確認申請受理日が気になるのであれば、不動産会社や自治体のほうに問い合わせてみれば調べてもらうことが可能です。
そして調べてもらった結果、中古マンションが改正前に建てられているとわかったとしても、購入候補から即除外してしまうのは少し待ってください。たとえ築40年を超えるようなマンションでも“耐震診断”を受けて耐震性が無事認められたものも存在しますし、診断後に必要となる耐震改修や耐震補強を行っていれば、安全性は確保されていると言えるでしょう。
耐震性は築年数で判断するというより、新耐震基準をクリアしているかどうかを見たほうが良いのです。

それでも不安を感じるのであれば、ホームインスペクター(住宅診断士)などに依頼して建物の現状を見てもらい、その上で納得できる結果が出たのであれば、安心することができるのではないでしょうか。


地震に耐えられるマンションとは?

 

《建てらている周囲の地盤も確認を》

 

どれだけ耐震性に優れたマンションでも、地盤に問題があれば安心して住み続けることが出来ません。目に見える建物部分だけでなくその足元、地面の下に隠された部分も知っておくことが大切です。
2011年3月に発生した東日本大震災では液状化が発生し、建物自体に大きな被害はなかったものの地盤沈下によって大きく傾き、住み続けることが不可能と判断され全壊扱いとなったりというケースもありました。
ただしこれらが起きたのはほとんどが一戸建て住宅。マンションを建てるには土質状況を把握するためのボーリング調査が必須で、軟弱な地盤であれば“支持地層(支持層)”と呼ばれる層まで杭を打ち込むなどその地盤に対応した設計が行われていますので、一戸建てと比べてマンションはそれほど地盤に神経質になるほどではないかもしれません。
ですがやはりもともとの地盤が柔らかいのであれば、固い地盤の上のものと比べて揺れやすくなりますし、たとえ建物の被害がほとんどなかったとしても、周囲が液状化で地盤沈下してしまえば影響を大きく受けてしまい、上下水道や電気・ガスなどがストップするなど、家に住み続けることが出来てもその後の生活に影響が出てくる可能性もあります。

希望するエリアの地盤がどのようなものなのか、調べるのであれば国土交通省のサイト“国土地理院”内にある「土地条件図」がおすすめです。こちらのベクトルタイル“地形分類(自然地形)”では、その地盤がどのようなものなのか、どのような自然災害リスクを抱えているのかなどを知ることが可能となっています。リスクが出来るだけ少ない場所を選びたいのであれば、河川氾濫・崖崩れ・地震の揺れ・液状化の懸念が少ない“高台”を選ぶのが良いのではないでしょうか。

もちろん、ここで知ることが出来るのはあくまでも地盤の傾向で、正確な情報は個別で地盤調査をしなければわからないものです。また、自然災害に絶対安全などという断言もできません。ですができるだけ安全な場所に住みたいと思うのは当然のことですので、それらを踏まえた上でぜひチェックを行いましょう。

 

周囲の地盤の確認

マイホームを購入するときは、ついつい通勤や買い物の利便性や周囲の環境、住居の設備などに目が行ってしまいがちですが、長く住み続けたいのであれば、生活や命を守るマンションそのものの“耐震性”は見逃すことはできません。安心できる中古マンションを購入したいのであれば、必須条件のひとつとしてしっかりと頭に入れて住居探しをしましょう。

 

 

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