池袋まで西武池袋線でわずか2駅という場所にありながらも、昔ながらの下町のような商店街を残しつつ落ち着いた雰囲気を醸し出している「長崎」。知名度的にはそれほど高くはありませんが、西武池袋線だけでなく都営大江戸線や東京メトロ副都心線の駅も利用できる上、物件の相場も比較的リーズナブルなものとなっているので、学生はもちろんファミリー層にも根強い人気のあるエリアです。

《■長崎の歴史》

鎌倉時代末期に、幕府執権北条氏の筆頭家臣として執事の職にあった長崎氏の領地であったことから「長崎」と呼ばれるようになったという説が有力であるものの、文書を残さず口伝でのみ情報を残してきた地域であったためか、確証となるような文書は存在していないようです。
室町時代にはすでに“長崎村”と呼ばれていたこの地域は、江戸時代の八代将軍・吉宗なども猪狩りに訪れたとも言われている知行地で、のどかな農村や雑木林が広がっていました。 その後明治に入るまでは武蔵国内の旧幕府領であった浦和県（現埼玉県）の一部でしたが、明治4年（1871年）に東京都の前身・東京府に編入。大正4年（1915年）に武蔵野鉄道（現西武池袋線）が開通し、大正12年（1923年）に起こった関東大震災をきっかけに人口が増加。池袋駅が近かったことから住宅街を中心に開発が進み、そして昭和14年（1939年）になってから豊島区の一部となりました。

なお、地名として“長崎”と“南長崎”の2つしかないにも関わらず、西武池袋線の駅名が「東長崎」とつけられているのは、九州の長崎駅、東京の東長崎、とわかりやすく区別するためだそうです。九州の長崎駅が先に誕生したために同じ駅名を付けることが出来なかったという理由もありますが、九州の長崎からはかなり離れているものの確かに“東”に位置しているのは間違いないですね。

《■長崎の地理》

西武池袋線「東長崎駅」から池袋駅まで2駅、わずか5分程度という利便性の高さがとにかく魅力。各駅停車のみしか停まりませんが、逆に各駅停車だからこそ通勤通学ラッシュの時間帯にもそこまでは混みにくいという利点もあります。
さらに少し歩けば都営大江戸線の落合南長崎駅、東京メトロ有楽町線・副都心線の千川駅と合計で3路線を利用することが可能です。どの路線の駅をメインで利用したいかによって、東長崎内で住むエリアを選ぶとよいでしょう。
さらにバスの路線も充実。池袋駅の他、目白駅や新宿駅方面などへもかなり頻繁に通っているため、駅からやや離れた場所に行く際には非常に便利です。

自動車での移動は目白通りや新目白通りといった大通りが近いものの、道幅がかなり狭く一方通行の道路が多かったり、駐車場が少なめなため必須ではないかもしれません。逆に移動をするのなら自転車のほうがオススメで、椎名町や江古田、千川などにもさらに行きやすくなるうえ、池袋や中野、高田馬場などへも15分程度で行くこともできます。場所によっては電車で行くよりも短時間で移動が可能な自転車は、長崎周辺に住むならぜひとも欲しいアイテムの1つでしょう。

早いうちから住宅街として成長してきた長崎周辺は、区画が小さめなため大規模マンションなどの大きい建物などは建ちにくく、空を広く感じることが出来ます。池袋から近いわりに住宅街は静かで落ち着いており、利便性が高いわりに比較的リーズナブルな物件も多いため、安さと便利さを同時に求めるのならばお勧めのエリアです。

《■長崎での買い物》

東長崎駅周辺には南側に“長崎銀座商店街”、“東長崎十字会”ほか大小合わせて6つの商店街があり、生活に必需なものはすべてこの周辺で揃えることが出来ます。マクドナルドや松屋などのチェーン店もありますが個人経営のお店がほとんどで、最近あまり見かけなくなった鮮魚屋や精肉店、八百屋さんなど生鮮食料店のほか、お茶屋さんや笠屋、青果店、花屋など昭和の雰囲気を残したお店を多く残しています。こういった昔ながらの小さな専門店は大型スーパーなどに負けてしまうことも多いですが、東長崎駅周辺ではしっかりと住みわけが出来ているのがこの街の素晴らしい点のひとつでしょう。
もちろん東急ストア、サミットストアと通常のスーパーも揃っているので、自炊中心の生活にも困ることはありません。なお、東長崎駅南側にあった24時間営業の西友は現在休業中ですが、2019年に地上11階建ての複合施設の一部として復活オープンを予定しているようです。

また、食べログでも高評価を得ている蕎麦屋をはじめ、行列のできるラーメン屋、洋食屋、居酒屋など飲食店も充実。安くておいしい総菜屋や弁当屋もかなり多いため、料理が苦手な方や毎日忙しい方も安心して暮らせそうですね。

《■長崎の施設》

住宅地が中心となって発展してきたため大きな公園などはほとんどないエリアでしたが、2013年に“豊島区立 南長崎スポーツセンター”が大江戸線の落合南長崎駅近くに誕生し、子供を中心に毎日賑わっています。温水プールやトレーニングジム、フィットネススタジオ、バスケットボールやバレーボールもリーズナブルな値段で楽しめる室内型のスポーツ施設と、屋外ではじゃぶじゃぶ池や芝生広場、子供向けの遊具広場や多目的広場のサッカー場なども利用することが出来ます。
スイミングスクールやバトミントン、トランポリンなどの教室が頻繁に開催されているほか、授乳室なども完備されているので小さな子供連れの方でも安心して堪能することが可能です。

スポーツセンターでたっぷり遊んでから、向かいの商業施設“アイテラス落合南長崎”で買い物をするというのが地元の住民たちの流れになっているようです。こちらは2012年にオープンした5階建ての複合型ショッピングセンターで、スーパーからレストラン、衣料品店、食料品店、レンタルスペース、保育園から病院まで多種多様な施設が入っています。落合南長崎駅直結なため雨や風の強いでも安心して買い物ができますし、四季折々のイベントも開催されているので、子供から大人まで楽しめる地域の人々の憩いの場となっているようです。