言わずと知れたおばあちゃんの原宿「巣鴨」。有名なとげぬき地蔵尊がある“巣鴨地蔵通り商店街”を中心に、中高年を中心とした観光客で休日だけでなく平日も常に賑わっています。池袋駅へはわずか2駅、東京駅へも渋谷駅へも約20分と都心部のほとんどのターミナル駅が山手線1本でアクセス可能という好立地もあってか、穴場として若い世代からの人気も上昇しているエリアです。

《■巣鴨の歴史》

「巣鴨」という地名は、大昔にこの地は湿地帯でところどころにあった大池に多くの鴨が巣を作っており、葦が茂る州があちこちにあった、などという説がありますが、“州賀茂”や“菅面”、“須賀茂”など様々な書き方もされていたため、正しいかどうかわかっていません。石神井川に対し洲に向き合った場所として“洲賀面”とした、など地形にちなんだという説も有力視されているようです。

江戸時代にはすでに現在の豊島区の東半分を占める“巣鴨村”が存在していました。主要街道のひとつ中山道の出発地点・日本橋から出発して最初の休憩所“巣鴨立場”として賑わっており、宿場ではないため宿泊施設などはなかったものの、茶屋や食事処として多くの人々が集まっていたようです。
今も旧中山道沿いに旧店舗が残る、根菜類から果菜類、葉菜類まで各種の農産種子を仕入れて販売していた卸問屋“たねや”もこのころに誕生しています。同時に植木の村としても名高く、代表的な桜の品種“ソメイヨシノ”もこの地の植木屋が交配して誕生させたほか、ツツジや菊の栽培地としても有名な植木の里でもありました。

明治24年（1891年）入ると、上野から“とげぬき地蔵尊 高岩寺”が「巣鴨」へ転移。同時に東京を中心した鉄道の開発も一気に進行し、明治36年（1903年）豊島線（現・山手線）池袋～田端間の中間駅、中山道と交差する交通の要衝として“巣鴨”駅が誕生します。

こうして、商業と信仰の街として発展を続け、現在の「巣鴨」の姿へと成長していったのでした。

《■巣鴨の地理》

山手線を円にした時にほぼ中央真上に位置する「巣鴨」は、東京方面へ行くにも新宿・渋谷方面へ行くにも便利な場所となっています。“池袋”へはJR山手線内回りで約5分、“新宿”へは約15分、“渋谷”へは約20分で、“上野”へは山手線外回りで約15分、“東京”へも約20分と、巨大ターミナル駅のほとんどが乗り換えなしの20分圏内で行けるほか、同じく「巣鴨」駅に乗り入れている都営地下鉄三田線を利用すれば、水道橋や神保町、大手町へも1本でアクセスが可能です。徒歩約15分とやや距離がありますが、巣鴨地蔵通り商店街を板橋方面へ歩けば庚申塚駅もあるので、都内唯一の路面電車・都電荒川線を利用して早稲田方面へ行くこともできるのも嬉しいところ。
巣鴨駅の北側と南口ともに都営バスが運行しており、西は池袋駅から東の西日暮里駅、北は王子まで走っているため、移動で悩むことはほぼないでしょう。

なお「巣鴨」エリアのほぼ中央を“白山通り（国道17号）”が走っているため駐車場なども多く、車での移動でも便利な場所ですが、住宅街へ入ると細い道や一方通行の場所もかなり多いので注意が必要かもしれません。どちらかといえば自動車より自転車のほうがおすすめかもしれませんが、坂や通行人の多いところもあちこちあるため、どちらにしろ注意は必須のようです。

豊島区では“池袋”に次ぐ賑やかさとなっているものの、利用者の年齢層が高めのせいか全体的な犯罪件数はかなり低めの「巣鴨」。ただし観光地として人気の高い街で人混みが多いせいか、ひったくり事件が何件かあることと自転車盗難が多いことと、場所によっては見通しの悪い暗い道もあるようです。

《■巣鴨での買い物》

おばあちゃんの原宿と言われているだけあって、大福やせんべいを売る和菓子屋や甘味処、純喫茶やうなぎ屋、赤パンのお店などシニア層を対象にしたお店はかなり多いです。
そう言われると「若い人やファミリー層には向いていない場所なのでは？」と思いがちですが、大正大学をはじめとした学校の多いエリアでもあるため学生の住民も多いですし、白山通りに高層マンションが増えたこともあって、ファミリーや女性の1人暮らしも確実に増えてきています。
そんな若い世代に人気のショッピングスポットは、巣鴨駅直結の5階建ての駅ビル“アトレヴィ巣鴨”でしょう。美味しいパンが並ぶベーカリーやお洒落なカフェ・レストラン、成城石井といった高級スーパーからやや小さい目の店舗ではありますが無印良品や、美容室やネイルサロンも入っているも嬉しいポイント。駅直結なので仕事帰りにちょっとついでに、ということも可能です。

また、学生やお財布の紐の固いおじいちゃんおばあちゃんが多いせいか、人気の食堂“ときわ食堂”などをはじめとしたリーズナブルでボリュームのある飲食店も多いです。ガストやジョナサン、マクドナルドといった人気のファーストフード・ファミリーレストランの有名チェーン店もたくさんありますので、家族連れの外食でも心配することはなさそうです。
駅周辺には商店街が3か所もありますし、24時間営業のSEIYUや、サミットストア、まいばすけっとなどのスーパーの他にも、サンドラッグやマツモトキヨシなどのドラッグストアも充実しているので、食材の買い出しなど普段の買い物にもとても便利な場所となっています。

ただし、TSUTAYAやゲオといったお店はあるものの、やはり若い世代向けの衣類店は少ないですし、大型家電量販店も見当たらないので、その場合は池袋や渋谷のほうまで出たほうが良いかもしれません。

《■巣鴨の施設》

施設ではありませんが、TV番組などで誰しもが一度は目にしたことがあるだろう“とげぬき地蔵尊 高岩寺”と、その参道でもある“地蔵通り商店街”がこのエリアで最大の有名スポットでしょう。おじいちゃんおばあちゃんの街としてのイメージを固定化した“地蔵通り商店街”は1日平均1万人から2万人、4のつく日（4・14・24日）毎に開催される縁日の日には6万人もの観光客が溢れかえる人気の商店街です。
昔から商業の街として栄えてきた場所だけあって、和菓子屋や洋品店を中心に、甘味処や純喫茶といったお休み処、うなぎ屋や蕎麦屋・食堂などのお食事どころまで様々な個人経営のお店が軒を連ねており、どこかしら懐かしいレトロな雰囲気を醸し出しています。入り口には案内所、場所によっては露店などもあるため観光客向けの商店街かと思われがちですが、魚屋や肉屋、総菜屋のほか、肉のハナマサやまいばすけっとといったスーパーもあり周辺住民の毎日の買い物場所ともなっているようです。

同時に信仰の街でもある「巣鴨」。洗い観音で有名な“とげぬき地蔵尊（曹洞宗萬頂山高岩寺）”は“地蔵通り商店街”の中ほどにあり、休日はもちろん平日からかなりの賑わいを見せています。ご本尊は延命地蔵菩薩ですが秘仏なため残念ながら拝見することはできません。ですが、ご本尊のお姿をもとに書かれた御影（おみかげ）に祈願してもご利益があるほか、病気の場所に水をかけてタオルで拭くと治ると言われている洗い観音もあり、多くのお年寄りはもちろん、今では若い人にも人気スポットになっているようです。