神奈川県横浜市の北西にある青葉区に位置し、東急田園都市線のほぼ中央あたりにある「あざみ野」。東京都心部へ乗り換えなしで行けるほか、横浜市営の地下鉄ブルーラインの発着点でもあるため横浜方面へのアクセスも良いという利便性に優れたこのエリアは、特に“暮らしやすさ”を考慮して計画的に作られた閑静な高級住宅街と緑の豊かさが人気の地域です。

《■あざみ野の歴史》

「あざみ野」という地名は、早渕川の土手に野あざみが咲いていたことからつけられましたが、この名となったのはわずか40数年前の1976年（昭和51年）のことで、鎌倉時代には“石川”と呼ばれていました。
鎌倉時代に鎌倉幕府が開かれると、地方と鎌倉を結ぶ道路として“鎌倉道”が開通。武州府中あたりに抜ける通り路として“石川村”周辺は人々の往路が盛んでした。江戸幕府が開かれる頃には江戸が近かったため、直轄地が多くあったり徳川秀忠の妻・崇源院の化粧料地になったりと様々に変化していきましたが、鹿や猪が多く生息する田畑が広がっていたようです。

その後も1889年（明治22年）に“山内村”、1939年（昭和14年）に“石川町”と、時代が移り変わると共に合併と分離を繰り返してその名を変えていきましたが、まちの姿が大きく変化していったのは隣の“たまプラーザ”と同じく、1953年（昭和28年）に東急電鉄の五島慶太が“城西南地区開発趣意書”を発表してからです。イギリスの“田園都市構想”をお手本に、自然と都市機能の調和を目指して、便利で住みやすい住宅街へと開発がスタートします。

1976年（昭和51年）に地元の要望で「あざみ野」という名が正式につけられた翌年の1977年に、東急電鉄・田園都市線の駅が開業。その町名に基づいて“あざみ野駅”となりました。当時は急行や快速（現在は廃止）は通過していたものの、1993年（平成5年）に“横浜市営地下鉄3号線（ブルーライン）”が接続駅及び終着駅として開業しその利用客が急激に増加したことより、2002年（平成14年）には急行が停車するようになりました。これによって東京方面へも横浜駅方面へも出やすくなり、利便性が一層増したのです。

こうして「あざみ野」は約半世紀をかけて、緑豊かで閑静な住宅地と、ベッドタウンに相応しい都心部へのアクセスの良さがうまく融合した、まさに理想のまちへとなったのでした。

《■あざみ野の地理》

神奈川県横浜市北部の青葉区に位置する「あざみ野」エリアは、全域が東急電鉄グループ主導で開発された多摩田園都市です。中心部となる“あざみ野駅”周辺と早渕川沿いが商業地として利用されているほかは、ほとんどが住宅地として利用されています。

“渋谷”と“中央林間駅”をつなぐ東急田園都市線のほぼ中央あたりに存在し、渋谷までは約20分、渋谷からは半蔵門線に直結しているため、永田町や大手町、錦糸町へも乗り換えなしで1本で行くことが可能です。さらに横浜市営地下鉄ブルーラインも乗り入れているので、新横浜駅まで約15分、高島町駅まで約30分と横浜駅方面へのアクセスも良好。朝の通勤通学時間帯の田園都市線の混雑は有名ですが、急行・準急・各停の3種類が停車しますので上手に使い分ければ回避することも不可能ではないでしょう。
“横浜”を含め、“二子玉川”や“たまプラーザ”など人気の高い商業地に簡単に出られるのも大きな利点です。

駅西口から出ているバスは“東急バス”、“小田急バス”の2種類ですが、通勤時間帯は2.3分に1本ほどと本数はとにかく多め。バスロータリーは広々としていますし、バリアフリー対応のバスが利用できるため、車いすの方はもちろんベビーカーの親子連れも安心です。なお、渋谷駅からは深夜急行バス“ミッドナイトアロー”が運行しています。こちらは渋谷駅からのみ乗車が出来る形ですが、終電を逃してしまった場合などには重要な移動手段として利用できるでしょう。

元々が丘陵地帯なため、全体的に坂が多めなのは注意しておきましょう。計画的に作られた街並みなので道幅が広く、車での移動が大変しやすい地域でもあります。そのため自家用車はあったほうが助かる面は多いと思われますが、バスなどの公共交通機関もかなり充実していますのでそこまで心配する必要はないでしょう。ただし保育園の送り迎えなどで自転車を利用したいのであれば、電動アシスト付きのほうが安心できそうですね。

《■あざみ野での買い物》

駅自体が小さめでこじんまりとしているせいか、駅ビル自体もコンパクトです。
中には高級志向のパン屋“PAUL”やヘアサロンなどのほか、横浜市青葉区の“行政サービスコーナー”もあるので、役所まで出向かなくても一部の手続きはこちらできますし、“みずほ銀行”や“三菱UFJ銀行”、“ゆうちょ銀行”など金融機関も一通りあるので駅に出たついでに寄ることも可能です。

駅前からやや離れますが、西口を少し進んだ先には2013年にオープンした郊外型商業施設“あざみ野ガーデンズ”があります。普通、大型商業施設というと巨大なビルに店舗がたくさん入っている姿を想像しますが、こちらの“あざみ野ガーデンズ”は広大な敷地の中に店舗がそれぞれ店舗を構えた型で、レストランやカフェから、日用品雑貨店、地元生産者の野菜が購入できるお店のほか、ゴルフやテニス、フットサルなどもできるスポーツ施設、屋外テラス型のバーベキュー施設までが一か所に揃い、買い物だけではなく食事やレジャーも楽しめる人気のスポットとなっているようです。

駅前のスーパーは“東急ストア”や“三徳”の2か所とやや少なめですが、“東急ストア”は駅直結の上に24時間営業なので時間を気にせずいつでもいけて非常に便利です。また、“ダイコクドラッグ”や“ハックドラッグ”、“サン薬局”、“スギ薬局”といったドラッグストアから、“ローソン”や“ファミリーマート”などのコンビニもあちこち点在しているので、日常の買い物をするのに不便さを感じることはほとんどないでしょう。

飲食店はお洒落な個人経営の店舗が駅前に数件ある程度で、それほど多くはありません。ですが“ジョナサン”や“ガスト”などのチェーン店のファミレスや、“松屋”、“ケンタッキー”といったリーズナブルなお店も見つけることが出来るため、学生の方なども困ることはなさそうです。

《■あざみ野の施設》

買い物の項でも触れましたが、郊外型ショッピングモール“あざみ野ガーデンズ”の人気が高いです。
ホームセンター“ユニディ”をはじめ、“マクドナルド”や“スシロー”、“和幸”、“100本のスプーン”などの飲食店から、採れたて新鮮野菜を扱う“ファームドゥ”、鮮魚専門店の“魚力”、選りすぐりの肉を販売する“横浜野本”といった生鮮食品店などがモールの敷地内に独立して建っています。
中でも注目したいのは、ゴルフ練習場やフットサルコート、テニスコートなどの運動施設も併設されていることと、屋外でバーベキューが楽しめる“BBQPIT”があることです。特に池周りのウッドデッキとその周辺に建てられた“BBQPIT”では、グリルや調理器具の準備や後片付けが不要で本格的なバーベキューを気軽に楽しむことが可能です。ガーデンズ内のスーパーで食材を購入して持ち込むこともできますが、食材付きのプランも完備されているので手ぶらで行けるのも嬉しい点でしょう。

また、「あざみ野」ではペットを飼う人が多いようで、頻繁に犬を連れた人を多く見かけることが出来るのも特徴です。駅近くには大型ペットショップ“ペットフォレスト”もありますし、動物病院もあちこちにあったりと、ペットにも優しいまちとなっています。
“あざみ野ガーデンズ”内にもペットホテルも兼ねたトリミングサロン“PET-SPA”や、テラス席に限りますがペット同伴可能なカフェレストランや、ベンチの横には犬係留フックが設置されていたりと、犬好きには嬉しいでしょう。芝生など緑も多いですし、ガーデン内は散歩コースとしても人気の場所となっているようです。

ほどよく充実した買い物施設と、ゆったりとした田舎さがうまく融合した「あざみ野」。自然の中で子供を育てたいというファミリーはもちろんのこと、ペットという大切な家族と一緒に住むにもおすすめのエリアなのです。