2000年に誕生した比較的新しい「さいたま新都心」は、新幹線の乗り入れるターミナル駅“大宮”からわずかひと駅の距離にあります。主要なビジネスエリアに指定されているこのまちはオフィス街としてだけでなく、スポーツやエンターテインメントなどの発信基地“さいたまスーパーアリーナ”や、買い物が楽しめる巨大商業施設“コクーンシティ”など、多数の顔を持ち合わせた話題のエリアです。

《■さいたま新都心の歴史》

「さいたま新都心」としての歴史は浅く、その地名も東京都心機能の“新都心”となるべく基図された業務地区の名称で、町名としても“新都心”が使用されています。

このエリアの東側には“中山道（旧国道17号）”が通り、江戸時代には中山道六十九次の4番目の宿場“大宮宿”の南端に属していました。“武蔵一宮 氷川神社”から南北に伸びる参道の入り口側にほど近かったものの、ほとんどが田園地帯だったようです。
1883年（明治16年）に日本鉄道（現・JR東日本）の上野～熊谷間が開通すると、その操車場を併設する貨物駅として1894年（明治27年）に“日本鉄道株式会社大宮工場”が隣の“大宮駅”で開業。1927年（昭和2年）に操車場を併設する貨物駅“大宮操車場”がこの地で開設しました。
その後しばらくは首都圏の鉄道の要衝として役目を果たしていましたが、1984年（昭和59年）の鉄道貨物輸送の衰退に伴ったダイヤ改正によって、操車場機能及びコンテナ貨物の取り扱いが廃止。翌々年には貨物駅としても廃止となり、敷地を大幅微縮小することになります。

跡地の有効利用を図る方針が政府閣議で決定し、再開発・土地区画整理事業が開始。首都圏整備計画において“大宮”及び“浦和”が業務核都市として指定され、この跡地がその地域の中心にあったため大規模な国の転移事業がスタートしました。
事業の一環として、2000年（平成12年）4月に“さいたま新都心駅”が開業。その1か月後となる5月に街びらきが行われ「さいたま新都心」として歩み始めます。埼玉県内でも有数のビジネス拠点として発展しただけではなく、コンサートやスポーツイベントなど様々な用途に対応した国内最大級の多目的アリーナ“さいたまスーパーアリーナ”や、大型ショッピングモール“コクーンシティ”などもオープン。2003年（平成15年）に土地区画整備事業が完了し基盤整備は終わったもののそれ以降も開発が進み、現在の姿となったのです。

《■さいたま新都心の地理》

埼玉県さいたま市の中央やや西よりに位置する「さいたま新都心」は、埼玉県内の京浜東北沿いでは一番新しい駅です。新しいだけあって埼玉県が発した“バリアフリー都市宣言”を遵守しており、体の不自由な方はもちろん段差に不安がある高齢者や、ベビーカーを利用する親子連れにまで優しい街づくりがされています。

“さいたま新都心駅”では、“京浜東北線”と、“高崎線（上野東京ライン）”及び“宇都宮線（上野東京ライン）”の3路線が使用可能。徒歩10分ほど歩行デッキを歩けば“埼京線”の北与野駅を利用することもできるため、どちらかで遅延や事故があっても回避することが出来ます。“赤羽”までは約12分、“上野”までは約23分、“東京”までも約30分で行くことが出来ますし、そのまま上野東京ラインに乗り続ければ“川崎”や“横浜”、“小田原”など神奈川方面へも乗り換えなしで行くことも可能です。
新宿を経由して神奈川方面へ向かう“高崎線（湘南新宿ライン）”及び“宇都宮線（湘南新宿ライン）”は停車しないので注意が必要ですが、“赤羽”で乗り換えれば“池袋”や“新宿”方面も問題なく行くことが出来ますので大きな問題にはならないでしょう。
“大宮”の駅も1駅でわずか2分とかなり近いため、そちらから新幹線を利用するという手もあるようです。

駅前からは複数のバス路線が利用でき、さいたま市内への移動はもちろん“成田・羽田空港”や“千葉”方面へ向かう高速バス、“富山”、“名古屋”、“大阪”“兵庫”など様々な方面へ向かう夜行バスも発着しているため、移動手段で困ることはありません。

車での移動も便利な場所で、駅前からは“首都高速埼玉新都心線”へ入ることが出来ます。国道17号もかなり幅のある道路となっているのも嬉しいところ。ですがやはり時間によっては渋滞しますし、公共交通機関も充実しているのでマイカーはそこまで必要というわけではないかもしれません。地形はかなり平坦な地域ですので、自転車があれば問題ないでしょう。道路も歩幅も幅が広く車・歩行者・自転車にも優しいまちとなっていますのでとにかくおすすめです。

《■さいたま新都心での買い物》

「さいたま新都心」の東口側には大規模商業施設“COCOON CITY（コクーンシティ）”があり、ほとんどの買い物がこちらで済ませることが出来ます。こちらは世界遺産にも登録された群馬県富岡市の“富岡製糸場”の民間最後のオーナーと同じ片倉工業の大宮製作所跡地に建てられたもので、英語で繭（まゆ）を意味する“cocoon”からこの名前が付けられました。
“COCOON CITY”は、スーパー“ライフ”やシネマコンプレックスの“MOVIXさいたま”などを中心に100の専門店とレストランが入った“コクーン1”、“イトーヨーカドー大宮店”やイベントなどを行う“コクーンひろば”などを中心に164の専門店とレストランが入る“コクーン2”、1983年から開業している“大宮カタクラパーク”から引き継がれた商業施設を改装し“ヨドバシカメラマルチメディアさいたま新都心駅前店”を中心に、スポーツ用品店や植物・ペット専門店などが入った“コクーン3”に、こちらも“大宮カタクラパーク”から引き継いだ唯一のローサイド店舗“パークサイドビル”の4つから成り立っており、常に多くの人々で賑わっています。

外食するにもとにかく魅力的な街で、特に若い世代や女性が好みそうなお洒落なお店が揃っているのも特徴です。まち自体が新しいため個人で経営しているような歴史があるお店はあまりありませんが、“COCOON CITY”内はもちろんのこと、駅西口にある“さいたまスーパーアリーナ”の“けやきひろば”にも様々なお店が並んでいます。リーズナブルな飲食チェーン店やカフェがとにかく多いので、家族連れや1人の時でも気軽に入ることが出来るでしょう。

スーパーは“コクーン1”北館1階の“ライフ さいたま新都心店”、“コクーン2”1階の“イトーヨーカドー大宮店”と、東口側は駅からすぐそばにあるものの、西口側はオフィス街がメインのせいか駅近の場所にはスーパーはありません。帰りがけに東口で買い物をしてしまうか、やや離れたところに“ビバモールさいたま新都心店”内に“マミーマート”、北与野駅の北口側に“フードガーデン”がそれぞれありますのでこちらを利用するのが良いでしょう。

《■さいたま新都心の施設》

中には「さいたま新都心」といえば即“さいたまスーパーアリーナ”を思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。
この“さいたまスーパーアリーナ”は、客席やステージ・床・天井などが稼働するムービング・ブロックシステムを採用し、格闘技やコンサート、見本市など大勢の観客が見込める際に使用される“スタジアムモード”、イベントの規模に応じて複数使い分けることが出来る“アリーナモード”、コンサートホールなどの代価として使用できる“ホールモード”の3パターンで使い分けることが出来る、日本有数の最先端の多目的ホールなのです。東京2020オリンピックで男女バスケットボールの全試合の開催会場でもあるため、今後さらに大きな注目を集めるのは間違いないでしょう。
メインのホールだけでなく、そこに隣接した“けやきひろば”も多くのイベントスポットです。こちらでも“フリーマーケット”や“販売会”などがほぼ休日ごとに行われており、毎週お祭りのような気分を味わうこともできます。逆に平日は穏やかな雰囲気となっているので、ゆったりとしたい場合はイベントが行われていない日を狙うと良いでしょう。

また、高度な医療施設も駅周辺に揃っているのも特徴です。
もともとさいたま市岩槻区にあった“埼玉県立小児医療センター”が建物の老朽化と耐震の観点から「さいたま新都心」の駅近くに転移開院し、同時に国道17号沿いにあった“さいたま赤十字病院”もその真横に転移開院したため、小さな子供からお年寄りまでもしもの時も安心して住むことが出来ます。上記の“さいたまスーパーアリーナ”は防災基地・大規模避難施設としても対応してますし、“さいたま新都心合同庁舎”もすぐ近くにありますので、大地震など大きな災害時にも心強いでしょう。

“住みたいまちランキング”の上位に入る“大宮”と“浦和”の中間地点にあるものの、「さいたま新都心」は新しいまちのせいか住む場所としてまだまだそこまで知られていない点はあるのかもしれません。ですが買い物環境、医療環境のほか、県内の先進的な機能が集結しており、これからさらなる発展が期待できる大注目のエリアなのです。