東京23区内の最西端に位置する杉並区は、お隣の世田谷区や渋谷区などと共に“城西地区”とも呼ばれるエリア。大正12年に発生した関東大震災をきっかけに、都心部から多くの人が転入してきたことにより人口が増加し、急激に宅地化が進みました。人が増えるとともに駅周辺には商店も並ぶようになり、今も商店街があちこちに存在しています。武蔵野台地の上に存在しているので全体的になだらかな高台地域になっており、坂が少なく普段の生活のしやすさはもちろん、地盤が比較的固く地震に強いことから、住宅地として特に注目が高いエリアです。23区内でも物価が手ごろなうえ、治安の良さもランキングの上位に入るため、住みやすい区として幅広い世帯の人々に好まれています。

杉並区　おすすめエリア

●高円寺

ライブハウスをはじめ劇場や古着などが多く集まった、若者に人気が高いサブカルチャーの聖地として有名。杉並区の中でより都心部に近い東端に位置しているこのエリアは、平日であれば中央線快速の停車駅になるため、新宿へわずか2駅で向かうことが可能です。堅苦しすぎず、かといって生活感がありすぎるわけでもない、ゆったりとした独特の雰囲気が魅力。

●阿佐ヶ谷

杉並区は全体的に商店街の多い地域ですが、その中でも一番商店街が多いエリア。阿佐ヶ谷最大規模を誇るパールセンターをはじめ、ダイヤ街、ゴールド街、スターロードといくつもあり、他では味わえなくなった懐かしさを味わうことが出来るでしょう。飲食店中心の商店街が多いため、特に外食派の人におすすめ。

●荻窪

杉並区で最大のショッピングタウン。駅前の充実度はかなり高めで、多くの商業施設が集まっています。高円寺や阿佐ヶ谷などと比べると堅実で落ち着いており、子育て世帯に特に人気が高め。JR中央・総武線に加えて東京メトロ丸ノ内線も利用が可能で、しかも始発駅であるため混雑する時間帯も座って都心部へ向かうことが出来ると言うメリットも。荻窪ラーメン発祥の地であり、ラーメン激戦区でもあります。

●高井戸

京王井の頭線と環状八号線（通称：環八通り）が十字に交わる位置にあるエリアです。常に渋滞している環状八号線のイメージが強いため、騒がしいというイメージを持つ方が多そうですが、実際にはそのような状態なのは八号線沿いのみ。一本奥へ向かえば閑静な住宅街が広がり、静かな環境で暮らすことができるでしょう。渋谷まで乗り換えなしで16分で向かえるという利点も。

●永福町

渋谷駅と吉祥寺駅をつなぐ京王井の頭線のほぼ中央あたりに存在しており、どちら方面へも容易に向かうことが可能。井の頭線は急行が停車する駅はわずか6駅しかないのですが、永福町はその中に含まれているため、駅が多く見えても実際には新宿へは約10分前後で向かえるという、利便性が非常に高いエリアとして人気です。

杉並区　おすすめポイント

●豊富な商店街

杉並区でも特に阿佐ヶ谷、高円寺、荻窪などJR中央線沿いの街は商店街が多く、「商店街とともに発展したまち」と言っても過言ではありません。場所によっては鎌倉街道の一部、または参道としてある程度の人の往来はあったようですが、明治時代に入るまでは純然な農村地帯となっており、住民もほとんどが農業に従事していました。
1922年（大正11年）に高円寺や阿佐ヶ谷駅などが開業します。が、翌1923（大正12年）に関東大震災が発生し、都内の多くの人々が住む場所を求めて杉並区へ編入してくることになります。その人口の増加に合わせて、住民が買物するための商店も駅の周囲に集まり始め、自然に商店街の原型を形成。そのころから人々の生活をしっかりと支え、今もその姿を色濃く残しているのです。
商店街だけでなく激安スーパーも多く、物価が手頃なところも大きなメリットでしょう。

●子育て環境

杉並区自体がもともと東京都心部のベッドタウンとして成長してきたため、ファミリー向けの住宅が多く子育て世帯に適していると言えます。防犯意識も高く治安も23区内2位。街全体にしっかりと目が行き届いているので、女性や小さな子供がいる家族も安心することができるでしょう。
また、子育て世帯が気になるのは“待機児童問題”。たしかに、数年前までは杉並区は深刻な待機児童問題を抱えていました。しかし今では子供・子育て会議という委員会を設置し、子育て中の人の意見を積極的に取り入れています。そして認可保育所などの新設を速やかに行った結果、杉並区は平成30年（2018年）4月1日の時点で「待機児童ゼロ」を達成しました。
今後も待機児童ゼロの状態を継続した上でさらなる改善のため積極的に取り組んでいますので、杉並区では不安を感じずに子育てすることが出来そうです。

●豊かな自然環境

できるだけ「緑の多いところで暮らしたい」と考える人は少なくありません。ですが、東京23区内ではやはり難しい条件かもと諦めてしまう人がほとんどでしょう。しかし杉並区は都心部に近い場所でありながら、自然や公園の多い区として上位に位置しています。
特に自然が多いのは、善福寺公園内から区内を南東に流れる善福寺川沿いと、井の頭恩賜公園から杉並区の南側方面を流れている神田川沿いなどでしょうか。川沿いには桜が植えてある場所も多く、春になるとお花見スポットとしてにぎわっています。
また、善福寺公園をはじめ、都立和田堀公園、杉並児童交通公園、蚕糸の森公園、下高井戸おおぞら公園など大小問わず300以上の公園が点在。小さい子供が遊べる遊具が揃った場所、バーベキューなどのアウトドアが楽しめる場所、ウォーキングや散歩にピッタリの所など、とにかく種類も豊富です。
子育て世代はもちろんのこと、静かな緑の多い場所で生活したいという方には杉並区はぜひ候補に入れるべきエリアなのかもしれません。